先生の対談

ーめばえ国際学園は設立30周年を迎えました。

  • 鶴野:今でこそ、幼児教育は子どもたちの可能性を引き出す教育として知られていますが、めばえ国際学園が設立した当初は、幼児教育という言葉が注目され始めた頃でした。それでもまだまだ世の中の幼児期の知能開発の認知はほぼなかったように思い出されます。
  • 藤田:そうですね。ちょうど日本経済がバブルを迎え、生活の中に生まれた余裕を子どもたちの未来や将来のために費やそうと考える親御さんたちが増えたことがきっかけで、徐々に目を向けられるようになりましたね。私は設立して少し経った頃入職しましたが、今日まで私自身もずっと勉強させていただいたように思います。

  • 鶴野:藤田先生は設立して間もない頃、私たち教育者が手探りで試行錯誤を繰り返しながら、カリキュラムを組み立てていた頃からの付き合いになりますね。
  • 藤田:はい。園長先生とはたくさんお話してきましたね。めばえ教育の根幹となっている「脳科学教育」は設立後15年経過した2000年頃から様々な場所で科学的にも効果が立証されてきました。そうなるとめばえは教育の一歩先をいく先見性をもっていたと言えるのかなと思います。
  • 鶴野:30年経ち、幼児教育はすっかり浸透してきました。それでも0歳から教育を受ける選択をするのは子ども自身ではないですからね。子どもたちの環境をつくるのは誰でもなく、親。幼児期の子どもたちの経験は、その後の順応力や性格にまで大きく影響することは心理学的にも裏づけされています。たくさんの経験をさせることは親の仕事、一つの責任なのだと思います。
  • 藤田:大阪本校だとわずか3名の生徒から始まっためばえ国際学園も、今では各校合わせて800名もの子どもたちと出会うことができました。
  • 鶴野:教育は見えない宝。基礎的な発達を遂げる幼児期から、「できることはおもしろい」という様々な経験を積むことで、子どもたちの豊かな人格形成のサポートをできれば、という思いは今も変わりません。

ー英語を取り入れた、
めばえ「グローバルキッズ」が目指すもの。

  • 鶴野:昨年から、国際共通語である英語習得を助け、世界で活躍できる子どもたちを育てるため「グローバルキッズ」と銘打った新たな教室を開講しました。英語習得が必須であることはもはや言うまでもありませんが、単に語学習得を促し身に付けることだけでは、真の国際人となる人財は育たないものだと私たちは考えています。
  • 藤田:インターナショナルスクールで幼児期から欧米式の環境に触れることで、語学スキルは高いレベルで習得できるかもしれませんね。でも、そのスクールを後にしてからの環境に子どもたちが飛び込んだ際、スクールの中の常識が通用するとは限らない…。その環境の違いにうまく適応できず、戸惑ったという話も聞いたことがあります。
  • 鶴野:せっかく得たスキルを最大限に発揮するためには、どこに行ってもその子のアイデンティティが確立できるよう社会性も十分に養うことが重要です。そこで、めばえの「グローバルキッズ」が提唱するのは、「日本人であることを大切にし、その品格を育む」ということ。
  • 藤田:めばえの立腰の教育や躾に対する姿勢は、そこに結び付くものですね。グローバルキッズを受け持つ、外国籍の先生方にもしっかりと研修段階からめばえが目指す教育方針の核を伝え、子どもたちのみならず私たち教育者にも根付いています。園長先生が考える、「日本人の品格」とは、どういった事柄から育めるものだと思いますか?
  • 鶴野:そうですね…。とてもシンプルなことですが、まず、時間を守ることでしょうか。日本は人はもちろんのこと、バスや電車、飛行機などの交通機関も時間を守る意識が高いことは、諸外国からも評価を得ています。時間はあらゆる人に共通して平等に与えられるもの。この平等な時間を守るということは、自分本位ではなく、自分以外の「相手の大切な時間を守る」、ということに繋がります。私はこれこそ、日本人の品格であると考えています。

  • 藤田:相手に対する思いやりの心が根底にあるということですね。何においてもこの思いを前提に考えた上で、当たり前のことを当たり前に行う。大人の私たちは、その大切さと難しさを心のとても深い場所で感じさせられます。
  • 鶴野:日本には昔から、和を大切にするという素晴らしい文化があります。私は、決して大げさではなく、世界中の幸せを実現できるヒントを持つのが、この礎を持つ日本人だと考えています。その上で国際共通語は一つのツールでしかなく、世界で存在感を放つ発信者になるためには、日本人らしさや日本人の誇りを持ち続けなければいけない。そう思っています。
  • 藤田:日本の文化の素晴らしさを理解した上で、英語教育にも取り組めば、語学を身に付けた後、日本人らしい考え方や創造力は必ず子どもたちの武器になる。だからこそ、めばえでは腰骨を立て、姿勢を正すという日本古来の文化の原点をどの教室にも取り入れているんですね。卒園後も日本で子どもたちを育てようと考えている親御さんたちにこの話をすると、納得し同時にとても新鮮に感じてくださる方が多く、めばえのグローバルキッズは豊かな国際人形成に繋がる新しい教育の形だと信じています。
  • 鶴野:今後、日本の英語教育は日本人の誇りを重んじる教育にどんどん変わっていきます。
    親御さんたちには、目の前のことだけでなく、長く広い視野をもって子どもたちの未来を見つめてほしいと願っています。

ーめばえ国際学園のこれから。

  • 藤田:30年も携わっていると、卒園後の子どもたちの成長を見ることができます。どちらかというと落ち着きがなく、わんぱくで予測不能な行動を取りがちだった子も、希望の大学に合格し就職しと心もからだも大きくなっていく姿を見ると喜びもひとしおです。
  • 鶴野:大切な節目節目に報告に来たり顔を見せてくれるだけでも、めばえで過ごした時間が人生の中で役に立っていると感じてくれているのかと思えて、素直に嬉しいですね。
  • 藤田:子どもだけでなく、親も一緒に成長できることもめばえの良さだと思うんですよね。過去に3人のお子様がいて、上の2人の子たちは勉強がよくでき学力の高い学校に進学しているお母様と出会いました。そして3人目の子で初めてめばえの扉を叩いてくれたのですが、その方がある日私に、「めばえに入園させて、初めて勉強よりも大切なことがあると気付かされました。」とお話してくださったんです。
  • 鶴野:そんなに言っていただけるなんて、私たち教育者からするとこの上ない喜びですね。

  • 藤田:はい!勉強ももちろん大切ですが、めばえで得た、当たり前のことを当たり前にすること。きちんと椅子に座れること。靴をきちんと揃えること。挨拶ができること。感謝の言葉を伝えること。本当にすべて当たり前のことですが、早い段階からきちんと身に付けることの大切さを改めて感じてくださったのだと思います。
  • 鶴野:子どもたちに素晴らしい教育を届けることが私たちの使命です。しかしそれ以上に、そういった教育を通して親子の絆や周りの人との信頼を築き、よりよい未来や人生を自分の力で拓いていけるような一つの軸をつくるお手伝いをさせていただければなと思いますね。
  • 藤田:まずは、今できないことを、できるように。そんなシンプルな思いでも大丈夫なので、親御さんにはゆっくりお話を聞かせていただきたいですね。どうも幼児教育やインターナショナルスクールと呼ばれるものは、ブランド傾向が高く敷居が高いと思われがちですが、本当に大切なのは中身です。幼児教室を探している方もそうでない方も、めばえの見つめる、子どもたちに本当に必要な教育を実際に見て感じてほしいです。
  • 鶴野:教育業界はこれまでと同じように変化し続けることと思います。ずっと知能開発やワーキングメモリーを根幹とし遂行し続けてきたのは、確かな根拠と自信があったから。30年経った今だからこそはっきりと感じます。これまで数々の変革期を迎えてきましたが、ここから先いつの時代も子どもたちの未来のために、常に新しく、感性と笑顔に溢れた教育を届けられるよう頑張っていきましょう。